MRI検査を受けるにあたって
MRI検査を受けたいのですが、どうすればいいですか?
何らかの症状(頭痛や腰痛など)がある場合は、専門の病院を受診してください。
ただし、大学病院などは紹介状がないと受診できない場合がありますので、まず近隣のかかりつけ医を受診されることをお勧めします。
何の症状もない場合(健康診断や未破裂脳動脈瘤の検索など)は、脳神経外科や神経内科を標榜しMRI装置を所有するクリニックなどを受診してください。
病気ではありませんので自費診療(保険が使えない)となる場合があります。
医師にどのように相談すればいいですか?
まず、どのような目的で受診したかを担当医師に経緯を明確に伝えてください。その中でMRI検査の希望を伝えることができればいいのですが、MRI検査は万能ではありませんので、その適応については医師が判断します。
MRI検査は誰でも受けられますか(不適合者はいますか)?
インフォームドコンセントとはどのようなものでしょうか?
これから被検者が受けようとしている(医師が推奨する)検査や治療に対して、主治医がその目的を明らかにし、有益性とリスクを説明し、被検者がそのことに納得し同意したことを表明するものです。被検者は、その説明に納得しなければ再度説明を求めることや同意しない権利を持っていますので、正しい情報を理解してMRI検査を受けてください。
検査承諾書はなぜ必要なのでしょうか?
造影剤を用いないMRI検査では取得しないことが多いですが、被検者の装着物や装飾品によって想定外の事態を引き起こす(被検者に傷害を負わす)可能性もゼロではありません。また、医学的にMRI検査が必要であることが明白でありながら、身体から除外できない装飾品を装着したまま検査を実施せざるを得ない状況になった場合などに、被検者に傷害や装飾品に損傷を負わす可能性を納得していただいたうえで検査を実施するために検査承諾書をいただいています。
MRI検査における責任者は誰なのでしょうか?
MRI検査は、主治医の依頼を受けて実施していますので、検査における責任者は主治医(依頼医)になります。しかしながら、検査を担当する医師、技師、看護師も被検者を安全にかつ最善の情報を提供できるように一丸となって安全で安心な医療に取り組んでいます。医療者として人のため(被検者のため)社会のために貢献する気持ちは誰も変わりません。
MRI検査はどのような方が撮像するのですか?
検査時間はどれくらいですか?
検査内容にもよりますが、頭部や腹部の単純撮像なら15~30分、造影剤を使った検査になると20~40分が普通ですが、精密検査になるとそれ以上に時間を要する場合があります。
検査結果はどれくらいで聞けますか?
施設によって異なりますが、撮像した画像データは約1時間で完成しますので、画像データは依頼医の元に検査をした日のうちに届くと思います。画像診断結果は、放射線診断専門医が常勤している場合には翌日までにほぼ読影されていると思いますが、放射線画像専門診断医が常勤していない施設では1週間ほどかかることもあります。施設の事情によって大きく異なる場合がありますのでお含みおきください。
MRI検査にどれくらいの費用がかかりますか?
検査に使用する装置の磁場強度や造影剤の使用、検査結果の報告、検査環境によって費用が変わってきます。
3テスラ以上の機器による場合:16,000円、1.5テスラ以上3テスラ未満の装置による場合:13,300円、1.5テスラ未満の場合:9,200円です。
それに造影剤を使用する場合:2,500円。読影料:4,500円、放射線画像診断専門医が診断し管理をしていれば700円、もしくは施設が充実し放射線画像診断が翌診療日までに8割の画像診断をしていれば管理料として1800円。心臓のMRIの場合は:3,000円が加わります。したがって13,700円~28,500円程度になります。
その他、注射器などの医療材料を使用すればその分が費用に加算されます。これらの費用の合算に保険による補助があって、その差額が負担額になります。詳細で高度な検査を実施するほど費用は高額になります。
MRI検査の安全情報について事前に学習することができますか?
このサイトには、患者さんに知っておいてほしい安全情報やMRI検査に関する情報を掲載していますので見出しからお知りになりたい情報を検索してください。このサイトに掲載されていない情報をお知りになりたい場合は、磁気共鳴専門技術者認定機構の事務所までお問い合わせください。
MRI検査・装置の機能とメカニズム
MRI検査は何でもわかりますか?
MRI検査は、身体各部の形態情報から機能情報まで多くの画像診断情報を提供してくれますが、万能ではありません。症例によっては、骨折などの診断には適していないなど、まだまだ未知の信号強度や画像コントラストが存在し研究開発の途上です。検査可能な金属であっても撮像領域に存在すると磁場均一度を乱し鮮明な画像を得ることができません。また、被検者の動きにも弱く呼吸や少しの動きにも鋭敏に画質が劣化するなど、診断価値の高い鮮明な画像を得るために多くの条件が存在します。
MRI検査はどのようなメカニズムで画像が得られるのですか?
MRI検査は非常に強い磁石と電波を利用して、体内の水素原子が持ってる磁化を画像化するものです。さまざまな角度の画像を任意に得ることができ、血液や水分の分布状況ならびに機能情報も画像として得ることが可能です。
MRI検査とはどのような検査でしょうか?
直径60~70cm、長さ約2mの筒(電磁石)の中に入るトンネルタイプ(水平磁場方式)と、上下を直径約2m、高さ70cmの磁石に挟まれ横はフリースペースとなった上下約70cmの空間に入るオープンタイプ(垂直磁場方式)があり、ここに約20~40分静止していただきます。装置が置かれている部屋は閉鎖空間となりますが、操作者とマイクを通じて話すことは可能です。気分が悪くなった時に急を知らせるエマジェンシーコールも整備されています。検査中は大きな音がしますが、被検者に傷害を与える可能性のある騒音がする場合は、耳栓やヘッドホンで保護します。
CT検査とMRI検査の違いを教えてください。
CT検査は、エックス線を使って身体組織のエックス線減弱の程度を画像化しています。一方MRI検査は、身体に含まれる水素原子核からの信号を画像化しています。したがって、水素原子核の存在しない組織からの信号を得ることができません。
MRI検査は安全ですか?
電離放射線を使いませんので放射線被ばくはありませんが、狭い空間に20~40分静止していただく必要がありますし、磁石による吸引や電波(ラジオ波)による火傷、傾斜磁場による神経刺激、コイルの歪による騒音など、人体に傷害を与える危険性があります。しかしながら、臨床現場ではこれらを適正に管理することでリスクを最小限に抑えています。
造影剤を使用する場合には、まれに副作用(悪心,アレルギー,嘔吐,腎機能低下など)が出る場合があります。常に細心の注意を払って検査を実施するとともに、もし起こったとしても万全の体制を整えていますので安心してください。以前に造影剤で副作用を起こしたことがある場合や、食物などにアレルギーをお持ちの場合は必ず検査依頼時に主治医に申し出てください。
放射線被ばくが心配です!
電離放射線を使いませんので放射線による被ばくはありませんが、磁石による吸引や電波(ラジオ波)による火傷、傾斜磁場による神経刺激、コイルの歪による騒音など新たなリスク要因がMRI検査にはあります。
MRI検査の準備と順序
造影MRI検査と他のモダリティの造影検査を重複できますか?
①エックス線造影剤使用との重複検査の場合、MRI画像におけるコントラストの解釈が難しくなることがあるため、順序としてMRI検査を先に行うのが望ましい。
②核医学検査のガリウムシンチグラフィとの重複検査の場合、ガリウムシンチグラフィ検査終了後にガドリニウム造影MRI検査を行う。または、ガドリニウム造影検査の24時間以降にガリウムシンチグラフィを実施する方が望ましい。
③超音波との重複検査の場合、MRI造影剤が強く集積するような臓器や部位では、音響インピーダンスへの影響が否定できない。などのような注意点があります。
造影MRI検査と造影CT検査は同日に可能でしょうか?
薬剤間の相互作用が皆無であるという証明がされていないこと、またCT用造影剤がMRの緩和時間に影響するとの報告もあり、基本的には避けるべきだと考えます。 ただし禁忌ではありませんので、どうしても必要な場合は主治医および検査担当医と相談してください。
造影MRI検査後に血液検査を受けることはできますか?
マグネビスト_Fe:上昇,Fe(5-Br-PSAA法)::変化なし,Ca,Mg,LDH,αHBDH,free hemogrobin,hepatoglobin:変化なし。オムニスキャン_Ca:低下,Fe:上昇,Fe(5-Br-PSAA法):低下,Mg:上昇,ビリルビン:上昇 。プロハンス_Ca:変化なし。マグネスコープ_Ca:変化なし。という文献データがありますが、造影MRI検査と血液検査が同時に実施することが分かっている場合は、造影後に血液検査を行うと検査データの信頼性が失われますので、先(MRI検査前)に血液検査をした方がよいと考えます。
MRI検査前チェックの必要性
検査中の不安と注意
体外装着品や化粧品などの危険性
カツラを着用したまま検査を受けられますか?
留め金などに金属が使用されていると吸引や発熱で被検者に傷害を与えることがあります。金属部品がないカツラもありますが、外見からは判断できない場合もありますので、担当者に正直に申し出てください。
体内に存在する製品(医療機器・金属など)に対する注意
金属加工業をしていますがMRI検査は大丈夫ですか?
イレウスチューブを挿入している時のMRI検査はできませんか?
緑内障インプラントを植込んでいるのですが、MRI検査は可能ですか?
緑内障インプラント(チューブシャント)の素材を調べる限り磁性体が用いられているように思われません。だからと言って安全だと言い切れません。人間にとって重要器官に接していますので、単独で判断せず眼科医と十分に議論を重ねて検査の可否を判断すべきと考えます。
ATSの人工心臓弁を植込んでいてもMRI検査が可能ですか?
添付文書には「MRIの安全性が確認されています」とあり、MRI検査を実施する条件には適合しますが、当該者にあっては元来心臓に疾患を有しておられますので、慎重に判断してMRI検査を受けてください。20~40分の閉鎖空間での静止した仰臥状態を保つ必要がありますし、呼吸停止もあったりかなりの負荷があります。
鉄欠乏性疾患で鉄製剤を服用していますがMRI検査は可能ですか?
画像に影響を及ぼす可能性はありますが、服用薬剤によってMRI検査ができないわけではありません。服用薬剤を主治医に事前にお申し出いただき相談してください。
妊娠に関する相談
授乳中の患者に造影MRI検査は実施できますか?
MRI検査そのものは身体になんら影響を及ぼすものではありませんので、造影剤を使わない場合は、ご本人にもお子様にも検査後も通常に過ごしていただけます。 しかし造影剤を使用する場合は、数パーセントの造影剤が乳汁中に分泌されるため、授乳を24時間控えていただき、その後、搾乳が必要となります。
妊婦のMRI検査は可能ですか?
静磁界からの影響はなく、 通常操作モードで撮像すれば羊水や胎児に温度上昇が認められないことが確認されていますが、器官形成期の第1三半期間(妊娠期間の最初の1/3)約14週までは避けたほうがいいと考えます。しかしながら、米国食品医薬局(FDA)や日本の厚生労働省は胎児・乳児に対するMRI検査の安全性は確立されていないとしていますので、MRI検査で得られる恩恵とリスクについて充分に主治医と相談してください。
妊婦に対するガドリニウム造影MRI検査は大丈夫ですか?
母体においてガドリニウム製剤は代謝され、胎児の体内に移行することが考えられます。したがって原則的に、妊娠中はガドリニウム造影剤を使用しないほうがいいと考えます。