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MRI検査を受けるにあたって

MRI検査を受けたいのですが、どうすればいいですか?

何らかの症状(頭痛や腰痛など)がある場合は、専門の病院を受診してください。
ただし、大学病院などは紹介状がないと受診できない場合がありますので、まず近隣のかかりつけ医を受診されることをお勧めします。
何の症状もない場合(健康診断や未破裂脳動脈瘤の検索など)は、脳神経外科や神経内科を標榜しMRI装置を所有するクリニックなどを受診してください。
病気ではありませんので自費診療(保険が使えない)となる場合があります。

医師にどのように相談すればいいですか?

まず、どのような目的で受診したかを担当医師に経緯を明確に伝えてください。その中でMRI検査の希望を伝えることができればいいのですが、MRI検査は万能ではありませんので、その適応については医師が判断します。

MRI検査は誰でも受けられますか(不適合者はいますか)?

狭い空間に20~40分間静止していただく必要がありますので閉所恐怖症の方は辛いかもしれません。また、MRI検査に対応していない医療器具を装着されていたり、刺青やアクセサリーなど金属を含んだ装飾品を身体から外せない場合には、受けていただけない場合があります。医学的見地から検査を優先する場合もありますので、ご自身の事情をすべて主治医にお話しいただき、検査の必要性の有無についてご相談ください。

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インフォームドコンセントとはどのようなものでしょうか?

これから被検者が受けようとしている(医師が推奨する)検査や治療に対して、主治医がその目的を明らかにし、有益性とリスクを説明し、被検者がそのことに納得し同意したことを表明するものです。被検者は、その説明に納得しなければ再度説明を求めることや同意しない権利を持っていますので、正しい情報を理解してMRI検査を受けてください。

造影剤使用の際の承諾書はなぜ必要なのでしょか?

MRI用造影剤を体内に静脈注入すると画像診断能が向上するという医学的価値が認められる場合に使用するものですが、まれに副作用が発症する場合があります(約1.4%)。被検者は造影剤使用に関する有益性とリスクを理解したうえで、その造影剤の使用について承諾していただく必要があります。
強要するものではありませんので、主治医の説明に納得がいかない場合は使用を拒否することができます。ただしその場合、医師の診断目的に値する画像が得られない場合があります。

検査承諾書はなぜ必要なのでしょうか?

造影剤を用いないMRI検査では取得しないことが多いですが、被検者の装着物や装飾品によって想定外の事態を引き起こす(被検者に傷害を負わす)可能性もゼロではありません。また、医学的にMRI検査が必要であることが明白でありながら、身体から除外できない装飾品を装着したまま検査を実施せざるを得ない状況になった場合などに、被検者に傷害や装飾品に損傷を負わす可能性を納得していただいたうえで検査を実施するために検査承諾書をいただいています。

MRI検査における責任者は誰なのでしょうか?

MRI検査は、主治医の依頼を受けて実施していますので、検査における責任者は主治医(依頼医)になります。しかしながら、検査を担当する医師、技師、看護師も被検者を安全にかつ最善の情報を提供できるように一丸となって安全で安心な医療に取り組んでいます。医療者として人のため(被検者のため)社会のために貢献する気持ちは誰も変わりません。

MRI検査はどのような方が撮像するのですか?

診療放射線技師、臨床検査技師、医師の中でMRI検査技術の優れた知識を有し安全管理術を習得した者が担当します。特に、磁気共鳴専門技術者の称号を持つ技術者が施設にいると安心です。

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検査時間はどれくらいですか?

検査内容にもよりますが、頭部や腹部の単純撮像なら10~20分、造影剤を使った検査になると20~30分程度ですが、精密検査になるとそれ以上に時間を要する場合があります。

検査結果はどれくらいで聞けますか?

施設によって異なりますが、撮像した画像データは約1時間で完成しますので、画像データは依頼医の元に検査をした日のうちに届くと思います。画像診断結果は、放射線診断専門医が常勤している場合には翌日までにほぼ読影されていると思いますが、放射線画像専門診断医が常勤していない施設では1週間ほどかかることもあります。施設の事情によって大きく異なる場合がありますのでお含みおきください。

MRI検査にどれくらいの費用がかかりますか?

検査に使用する装置の磁場強度や造影剤の使用、検査結果の報告、検査環境によって費用が変わってきます。
3テスラ以上の機器による場合:16,000円、1.5テスラ以上3テスラ未満の装置による場合:13,300円、1.5テスラ未満の場合:9,000円です。
それに造影剤を使用する場合:2,500円。読影料:4,500円、放射線画像診断専門医が診断し管理をしていれば700円、もしくは施設が充実し放射線画像診断が翌診療日までに8割の画像診断をしていれば管理料として1750円。心臓のMRIの場合は4,000円、乳房MRI: 1,000円、全身MRI:6000円、肝エラストグラフィ:6000円が加わります。したがって14,000円~28,000円程度になりますが、保険によって負担額がかわります。
その他、注射器などの医療材料を使用すればその分が費用に加算されます。これらの費用の合算に保険による補助があって、その差額が負担額になります。詳細で高度な検査を実施するほど費用は高額になります。検査に使用する装置の磁場強度や造影剤の使用、検査結果の報告、検査環境によって費用が変わってきます。

MRI検査の安全情報について事前に学習することができますか?

このサイトには、患者さんに知っておいてほしい安全情報やMRI検査に関する情報を掲載していますので見出しからお知りになりたい情報を検索してください。さらに安全情報についてお知りになりたい場合は、日本磁気共鳴専門技術者認定機構のホームページのMRI Safety Forumから検索していただくか、Forumに質問をしてください。

MRI検査・装置の機能とメカニズム

MRI検査は何でもわかりますか?

MRI検査は、身体各部の形態情報から機能情報まで多くの画像診断情報を提供してくれますが、万能ではありません。症例によっては、骨折などの診断には適していないなど、まだまだ未知の信号強度や画像コントラストが存在し研究開発の途上です。検査可能な金属であっても撮像領域に存在すると磁場均一度を乱し鮮明な画像を得ることができません。また、被検者の動きにも弱く呼吸や少しの動きにも鋭敏に画質が劣化するなど、診断価値の高い鮮明な画像を得るために多くの条件が存在します。

MRI検査はどのようなメカニズムで画像が得られるのですか?

MRI検査は非常に強い磁石と電波を利用して、体内の水素原子が持ってる磁化を画像化するものです。さまざまな角度の画像を任意に得ることができ、血液や水分の分布状況ならびに機能情報も画像として得ることが可能です。

MRI検査とはどのような検査でしょうか?

直径60~70cm、長さ約2mの筒(電磁石)の中に入るトンネルタイプ(水平磁場方式)と、上下を直径約2m、高さ70cmの磁石に挟まれ横はフリースペースとなった上下約70cmの空間に入るオープンタイプ(垂直磁場方式)があり、ここに約20~40分静止していただきます。装置が置かれている部屋は閉鎖空間となりますが、操作者とマイクを通じて話すことは可能です。気分が悪くなった時に急を知らせるエマジェンシーコールも整備されています。検査中は大きな音がしますが、被検者に傷害を与える可能性のある騒音がする場合は、耳栓やヘッドホンで保護します。

CT検査とMRI検査の違いを教えてください。

CT検査は、エックス線を使って身体組織のエックス線減弱の程度を画像化しています。一方MRI検査は、身体に含まれる水素原子核からの信号を画像化しています。したがって、水素原子核の存在しない組織からの信号を得ることができません。 

MRI検査は安全ですか?

電離放射線を使いませんので放射線被ばくはありませんが、狭い空間に20~40分静止していただく必要がありますし、磁石による吸引や電波(ラジオ波)による火傷、傾斜磁場による神経刺激、コイルの歪による騒音など、人体に傷害を与える危険性があります。しかしながら、臨床現場ではこれらを適正に管理することでリスクを最小限に抑えています。
造影剤を使用する場合には、まれに副作用(悪心,アレルギー,嘔吐,腎機能低下など)が出る場合があります。常に細心の注意を払って検査を実施するとともに、もし起こったとしても万全の体制を整えていますので安心してください。以前に造影剤で副作用を起こしたことがある場合や、食物などにアレルギーをお持ちの場合は必ず検査依頼時に主治医に申し出てください。

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放射線被ばくが心配です!

電離放射線を使いませんので放射線による被ばくはありませんが、磁石による吸引や電波(ラジオ波)による火傷、傾斜磁場による神経刺激、コイルの歪による騒音など新たなリスク要因がMRI検査にはあります。

MRI検査中の騒音はどうしてするのですか?

筒の中の傾斜磁場コイルに瞬間的に電流を流したり切ったりして絶えず振動しているため騒音が発生しています。その成因は、コイルに電流が流れるとフレミングの法則によるローレンツ力が発生してコイルが歪むためです。

静かなMRI検査はないのですか?

傾斜磁場パルス波形とラジオ周波数パルス波形を工夫することで騒音を減らす静音技術が装備された装置や、騒音の発生源となるコイル部分を真空空間に閉じ込めて音の伝導を遮断する工夫が施された装置が販売されています。しかし、これらはすべての装置が備えている訳ではなく、現状では静音技術が可能な撮像条件も限られています。

検査室をもっと暖かくできないのですか?

MRI検査に用いる電波には発熱作用があるため、検査前に少し寒く感じても検査が進むにしたがって体温が上昇しますので、患者さんの体温上昇を抑えるために室温を24度以下にしています。寒く感じる場合は、タオルケットなどで保温の調整をしますので担当者に依頼してください。

MRI装置って爆発するのですか?

超伝導タイプのMRI装置(筒型)の磁石の中には液体ヘリウムが充填されています。コイルに何らかの負荷がかかり、液体ヘリウムが急激に気化することもないとは言えませんが、膨張気化したヘリウムは外に排気する設計となっていますのでコイル自体が爆発して被検者に危害が及ぶことは通常ありません。また、ヘリウムが室内に漏れていないかを監視するため酸素濃度計も設置されており安全対策が施されています。

MRI検査の準備と順序

造影MRI検査と他のモダリティの造影検査を重複できますか?

①エックス線造影剤使用との重複検査の場合、MRI画像におけるコントラストの解釈が難しくなることがあるため、順序としてMRI検査を先に行うのが望ましい。
②核医学検査のガリウムシンチグラフィとの重複検査の場合、ガリウムシンチグラフィ検査終了後にガドリニウム造影MRI検査を行う。または、ガドリニウム造影検査の24時間以降にガリウムシンチグラフィを実施する方が望ましい。
③超音波との重複検査の場合、MRI造影剤が強く集積するような臓器や部位では、音響インピーダンスへの影響が否定できない。などのような注意点があります。

造影MRI検査と造影CT検査は同日に可能でしょうか?

薬剤間の相互作用が皆無であるという証明がされていないこと、またCT用造影剤がMRの緩和時間に影響するとの報告もあり、基本的には避けるべきだと考えます。 ただし禁忌ではありませんので、どうしても必要な場合は主治医および検査担当医と相談してください。

造影MRI検査後に血液検査を受けることはできますか?

マグネビスト_Fe:上昇,Fe(5-Br-PSAA法)::変化なし,Ca,Mg,LDH,αHBDH,free hemogrobin,hepatoglobin:変化なし。オムニスキャン_Ca:低下,Fe:上昇,Fe(5-Br-PSAA法):低下,Mg:上昇,ビリルビン:上昇 。プロハンス_Ca:変化なし。マグネスコープ_Ca:変化なし。という文献データがありますが、造影MRI検査と血液検査が同時に実施することが分かっている場合は、造影後に血液検査を行うと検査データの信頼性が失われますので、先(MRI検査前)に血液検査をした方がよいと考えます。

普段から車椅子を利用しています。どこまで自分の車椅子で行けますか?

通常の場合、車椅子は検査室内に入ることはできません。MRI検査室内に入ることのできる非磁性体の車椅子が施設に準備されている場合には、検査室直前にその車椅子に乗り換えていただきます。また、MR装置の寝台が外れて動かせるタイプでは検査室外で寝台に寝てから移動していただくことも可能です。小型装置(低磁場装置)では管理者の判断で通常の車椅子の入室を許可しているところがありますので、その際は担当者の指示に従ってください。

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付添いで検査室内に入室する時も金属チェックを受けないといけないのでしょうか?

MRI装置からは検査時以外にも常に磁場が発生しています。したがって、付添いの方も磁場の中に入りますので磁場によって影響を受ける物に対してチェックを受けていただく必要があります。静磁場から影響の受ける医療器具などを装着されている場合は入室していただくことができません。

MRI検査前チェックの必要性

検査前にどのようなチェックを受けるのでしょうか?

口頭で手術の既往や金属の付着(装飾品や医療機器の装着)について質問します。金属類を植込まれていたり装着されていると被検者に障害を与えることがありますので、プライベートなことまで踏み込んでお聞きしますがご容赦ください。装着したままでの検査が危険だと判断された場合は外していただきますのでご協力をお願いします。その他、金属探知機や触診によっても確認させていただいています。

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MRI検査の事前チェックはなぜ厳しいのでしょうか?

MRI検査は磁石による強力な吸引と電波の照射による発熱から人体を守るために金属由来の吸引と発熱の危険性を排除しなければなりません。そのために、検査室に入室する前に被検者の身体に付着の金属や体内体外に存在する金属製品が持ち込まれないように厳しい事前チェックをさせていただいています。

MRI検査事前確認は誰にしてもらっても大丈夫でしょうか?

MRI検査に関わる医療者は、相応の知識を修得したものが担当していますので、事務員、看護師、技師、医師のいずれが事前チェックをしたとしても変わりありません。見落としがないように二重三重にチェックしている施設もあります。逆に、事前チェックを疎かにしている施設は安全管理の認識が低い施設だと言えます。

金属探知機を用いた確認方法は有効なのでしょうか?

金属探知機は「金属を探知するための道具」であり、体表面近くの金属の有無を確認することができます。金属があるとガントリに吸引されることや発熱する可能性がありますので、検査前に取り除く必要があります。写真のような頭部のヘアピンのチェックは、患者さんが外したと思っていても残っている場合がありますので、患者さんとのコミュニケーションも含めて重要なチェックでので、決して無駄ではありません。

磁性体をより敏感に検知する磁性体検知器もあります。

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なぜ体重を聞かれるのですか?

MRI検査に用いる電波の最大電力値が、患者さんの体重によって制御されるため聞かせていただいています。 また造影剤を用いる場合の注入量も、患者さんの体重によって決めています。

検査前に絶食は必要でしょうか?

腹部検査をする場合や造影剤を使用する場合は検査前3時間は絶食にしてください。ただし、糖分の補給や薬などを欠かしてはいけない方についてはこの限りではありません。また飲水も必要量を摂取してください。

頭部検査でも着替えは必要ですか?

基本的に金属が装飾品や着衣(下着)に付いていなければ着替える必要ありません。金属入りの下着(ブラジャやボディスーツ)や磁石入り健康下着を着用されている場合は着替えが必要です。過去に洋服に「金糸」が織り込まれていたり、金属糸や電気伝導デザイン,銀を含有させた洋服が原因の熱傷の報告があります。 ズボンのファスナも気になるところですが目的部位から離れていれば問題ありません。ただし、ポケットの中に何も入っていないように十分に気を付けてください。判断に迷う洋服は検査着に着替えることをお勧めします。

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検査中の不安と注意

MRI検査中に注意しなければならないのはどのようなことですか?

検査部位を動かすと鮮明な画像が得られませんので、静止は必須となりますので辛抱してください。
周辺の装置(ボアやコイル,ケーブル)に手足が接触していることや、左右の足先や指先が触れているとそこから発熱する恐れもありますので、接触しないように離しておいてください。ふくらはぎや太ももが微妙に接触する場合は、幅5cm以上の発泡スチロールなどのスペーサを挟み込んでもらってください。

子供や乳幼児でも大丈夫ですか?

被検者の体重あたりの電波の最大電力量[W/kg]が決まっていますので、負荷は大人と変わりません。
ただし、頭部と全身では許容されている最大電力量が異なりますので、頭部用コイルで全身を撮像することはできません。したがって、子供や乳幼児のMRI検査では部位に適合したコイルを選択する必要があります。

お年寄りにはどのような注意が必要ですか?

MRI検査を受けると電波によって体温が上昇します。高齢者は暑さに対する対応力が鈍っていますので、検査前に寒く感じても検査が進むにしたがって体温が上昇しますので、検査前に過度に保温することは危険です。

緊急ブザー(エマジェンシーコール)が持てないのですが、検査は可能ですか?

生体モニタ(SPO2モニタの装着など)で被検者の観察を常時することが可能です。 少し大きい子供さんなら、親と手をつないでいるだけで安心してじっとしてくれる場合もあります。

熱があってもMRI検査を受けることができますか?

MRI検査によって最大電力量の制限が通常操作モード(2W/kg)の場合に0.5℃、第一次水準モード(4W/kg)の場合に1℃の体温上昇がありますので、体調を崩して熱がある状態でMRI検査を受けることはあまり好ましくありません。条件付MRI検査可能心臓デバイスの中には、体温が37.8℃以下でないと検査ができない機器もあります。

MRI検査中にピリピリ感じることがあるのですか?

人によって感じ方は異なりますが、人体に電位差が生じて末梢神経刺激を受けるためにピリピリと感じることがあります。それは、単位時間あたりの傾斜磁場の変動(db/dt)の大きさに比例して強くなり、特に磁場中心から離れるほどdB/dtが大きく影響を強く受ける傾向があります。

MRI検査中に熱く感じるのはどうしてですか?

検査で使用される電波(RFパルス)によって、導電帯である人体に渦電流によるジュール熱が発生するためです。このジュール熱は比吸収率(SAR:人体が電波にさらされることによって単位質量の組織に単位時間に吸収されるエネルギー量)によって評価され、人体に影響を与えないように装置側で撮像条件に制限を設けています。

体外装着品や化粧品などの危険性

濡れたガーゼや包帯はそのままでMRI検査ができますか?

血液や漏出液で湿ったガーゼや包帯は導電率が高く火傷の危険性がありますので、新しいものに取り換えてから検査を実施してください。検査途中で湿ってくることもありますので、検査中は「エマジェンシコール(緊急通信呼出し用ボールやブザー)」を必ず持ってください。

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トレースコール(位置確認発信型センサー)を付けたままMRI検査は可能ですか?

1)電池などが内装されていますので吸引される可能性があります。また、身体と機器の接触部分で発熱の危険性が大いにあります。
2)本体の電子部品に影響を及ぼし正常に位置情報を発信しなくなる可能性があります。
3)電波の発信ならびに金属部品によって画像に悪影響を及ぼします。以上の理由から、検査前に必ず外してください。もし、検査後に気がついた場合は、本体が破損している可能性がありますので管理者に連絡してください。

検査時に湿布薬を取り外す必要がありますか?

頭頸部の検査時に、肩に貼った市販のパップ剤(白い厚みのあるタイプの湿布薬)で発熱(軽度の発赤)をした事例がありますので、外せるものは外してください。ただし貼付薬剤の場合は、薬用効果が変わることがありますので担当医もしくは放射線科医と相談してください。

金属であれば全て発熱するのですか?また吸引されるのでしょうか?

吸引は金属によってさまざまですが、最も注意しなければならないのは強磁性体(鉄、コバルト、ニッケル)です。 発熱に関しては、導電性の高い金属ほど危険性が高く、すべての金属において発熱の可能性があります。ただし、絶対に暖かくなる、熱くなる、とは限りません。

保温下着を着たまま検査ができますか?

熱を逃がさない素材として金属を織り交ぜた生地である場合は、発熱の危険がありますので更衣をすべきです。また金属を含んでいなくても、発汗による渦電流によって紅斑を呈した症例もあり、いずれも絶対安全ということはありません。長ズボン,長袖の検査着への着替えが最善ですが、MRI検査中は汗をかきにくい環境で受けることがポイントです。

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ラメ糸の付いた服をきたままでMRI検査はできますか?

ジャージの装飾ラインなどに使用されているラメ糸は、ナイロン糸やレーヨンに金属箔を巻きつけて作られています。発熱の可能性がありますので更衣が必要です。Tシャツなどにもラメ糸がついているものがありますので注意してください。

磁石で固定するタイプの入れ歯があります。MRI検査は可能でしょうか?

歯茎に磁石が埋め込まれている歯科用インプラントのMRI検査は、歯茎に埋め込まれた磁石の吸着力が低下する恐れがありますので検査はできません。

歯茎にはキーパ(磁石ではない)のみで、取り外す入れ歯側のみに磁石が埋め込まれている場合は、入れ歯を取り外せば検査可能です。どちら側に磁石が付いているかがわからない場合は、ゼムクリップなどで吸着するかどうかを確認してください。

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術後縫合用のステプラーは大丈夫ですか?

製品によってはMRI検査禁忌と明記しているものがあります。添付文書をご一読いただくとともに主治医にご確認ください。

ストーマのパックの接合部品は大丈夫ですか?

最近のものはプラスチックでできているようですが、古いタイプは金属でできています。金属留置のストーマは必ず外してMRI検査を実施してください。金属が磁場の影響で吸引されてストーマが外れたり、金属部分の発熱で火傷をする可能性があります。

ニュープロパッチと同様に中止しなければならない貼付薬はありますか?

商品名ですが、ニュープロパッチ、ニコチネル、ニトロダーム、ノルスパンテープも同様に外す必要があります。イクセロンパッチ、リバスタッチパッチ、ホクナリンテープ、フランドルテープはそのままMRI検査ができます。貼付薬がある場合は必ず担当者にお申し出ください。

一般的なコンタクトレンズは外す必要がありますか?

眼球の黒目を大きく見せるドーナツ状のレンズやカラーコンタクトレンズ、ファッションレンズ以外の一般的なコンタクトレンズにはほとんど磁性体成分が含まれていませんので、吸引や発熱の作用はないと考えられます。 ただし目が乾燥している時には、違和感を感じる場合がありますので、検査中に違和感を感じたときは直ちに操作者に知らせてください。

カラーコンタクトレンズ(ファッションレンズ)は外す必要がありますか?

眼球の黒目を大きく見せるドーナツ状のコンタクトレンズやカラーコンタクトレンズ、ファッションレンズには、磁性体を含んでいるものが多く、MRI検査によって吸引ならびに発熱によって眼球に傷害を与える可能性がありますので外してください。
標準的な医療器具のコンタクトレンズは外さなくても大丈夫です。

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アートメイクや刺青をしています。MRI検査は大丈夫ですか?

アートメイクや刺青の着色顔料やインクに金属を含む場合があり、過去に熱傷を生じた事例があることからも一般的に検査を控えています。熱を感じた時には、すでに低温火傷を発症している場合があります。

アメリカでは、火傷のリスクよりもMRI診断の有用性の方が高いという見解を出していますので、変色のリスクを承知のうえで検査を受けることも考慮してください。その際に承諾書への署名を依頼する場合があります。ただし、眼など重要臓器周辺のアートメイクによって危害を与える可能性のある場合のMRI検査は、特に慎重になるべきです。

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膝のMRI検査であっても頭部のアクセサリーを外す必要がありますか?

足先の検査であっても、ほぼ全身がMRI装置の筒の中に入りますので、アクセサリーに含まれる金属が吸引されることや、発熱する可能性がありますので、全てのアクセサリーを外す必要があります。

カツラを着用したまま検査を受けられますか?

留め金などに金属が使用されていると吸引や発熱で被検者に傷害を与えることがあります。金属部品がないカツラもありますが、外見からは判断できない場合もありますので、担当者に正直に申し出てください。

スーパーミリオンヘアーを使用しています。MRI検査は可能ですか?

メーカからの情報では、「スーパーミリオンヘアー」は植物由来で金属は含まないが、「スーパーミリオンヘアーEX」には「酸化鉄」が含まれるとのことですので、鉄成分が含まれている「スーパーミリオンヘアーEX」を塗布したままMRI検査を実施すると検査中に発熱の危険性があります。また「アートミクロン」も実験では磁場に吸引されました。これらの精神の吸引力については、まだまだ不明なことが多いですので、頭部への塗布剤を付けていないことが最善です。可能な限り取り除いてMRIを受けてください。医療側からは申し出がないと分からない製品ですのでご協力をお願いします。

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スプレー式白髪染め染毛料を塗布したままMRI検査は可能ですか?

一般的なスプレー式白髪染め染毛料(一時着色料と呼ばれる)のほとんどにカーボンブラック(炭素)が含まれ、鉄,チタン,クロムの顔料も含まれている場合があります。鉄成分が含まれていると検査中に発熱の危険がありますので、塗布されている場合はご使用の場合は必ず担当者にお申し出ください。

アイシャドウをしたままMRI検査は可能ですか?

アイシャドウのほとんどにカーボンブラック(炭素)が含まれ、鉄,チタン,クロムの顔料も含まれている場合があります。鉄成分が含まれていると検査中に発熱の危険がありますので除去していただきます。

アイライン、つけまつげ、マスカラをつけたままMRI検査は可能ですか?

化粧品メーカーでは「アイラインやつけまつげ、マスカラなどの着色材料には、一般的に酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄などが含まれているのでMRI検査前にすべて除去していただくようにお願いしています」とのことです。コスメティック用品の成分には、ほとんどの製品に微量の鉄製分が含まれていますので、熱の発生について否定ができません。目という人間にとって重要器官に近いことからも「検査前に除去した方がよい」ということになります。

MRI検査時に手指のネイルを取るべきでしょうか?

明らかに金属を含んだネイルがあり、吸引、発熱、神経刺激の可能性があります。しかし、重要器官ではないので経済性とリスクを天秤にかけて、剥がれないような処置を施したうえで検査を実施するという選択肢もあります。ただし、傷害が生じたとしてもすべてご本人の責任として検査を受けてください。

外せないピアスはそのまま検査が可能ですか?

ピアスの針が磁場に吸引される可能性があります。ピアスを外してからMRI検査を受けていただくのが原則です。どうしても外せない場合は、検査の必要性を依頼医と相談してください。

化粧を落とす必要がありますか?

重金属が使われているものがあり発熱の危険性がありますので化粧は落としてください。アイラインや眉,唇,頬などにアートメイクをされている場合も必ず申し出てください。
除去せずそのまま検査を実施される場合は、低温火傷や変色のリスクがあることを承諾のうえ検査を受けてください。

耳つぼダイエットの「金」は大丈夫でしょうか?

素材を調べたところ、銀・鉄・マンガン・イオウ・リン・珪素・炭素で構成されているようですので発熱の危険性があります。外さずに検査を受けることは非常に危険です。

金属イオンを含まない制汗スプレーは大丈夫ですか?

制汗スプレーによって身体を濡らすことが発熱の原因になります。スプレーの噴霧に限らす汗などで身体が湿っていることも発熱の原因になりますので、身体をタオルなどで拭いてから検査を受けてください。

磁石に引っ付かない金属は検査室に持ち込めますか?

磁石に吸引されず身体に密着していないものであれば検査室内に持ち込むことは可能です。
しかし被検者に付着しているものや体内に埋め込まれたものである場合は、磁石に吸引されない金属(アルミニウムや銅など)であっても発熱の可能性があります。撮像領域内に、その金属が存在すると正しい画像を得ることができません。

体内に存在する製品(医療機器・金属など)に対する注意

金属加工業をしていますがMRI検査は大丈夫ですか?

金属加工を職業とされている方は、まれに傷口から金属が入り込み、組織に埋もれている場合があります。自覚がある場合はエックス線検査で存在の有無を確認してください。自覚のない場合も慎重に慎重を重ねて検査を受けてください。金属の存在が検査の途中で判明することもあります。検査中に異常を感じたら速やかに検査担当者にご連絡ください。

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イレウスチューブを挿入している時のMRI検査はできませんか?

ガイドワイヤの挿入中はもちろんイレウスチューブ固定後もMRI検査は避けるべきだと考えます。 理由は、先導子金属球の安全性が保証できないのと、イレウスチューブを固定するのに安全ピンなどの付属金属が使われている可能性を否定できないためです。このような場合の画像検査はCTを選択することが優先されると考えます。

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約50年前の上腕骨のスクリューとワイヤーがあります。MRI検査は可能でしょうか?

整形外科で使用されるスクリューとワイヤー(小さい物)だけであれば吸引の心配はないと考えますが確実ではありませんし、発熱の可能性も否定できません。MRI検査の可否を添付文書で確認していただくのが確実です。検査ができたとしてもアーチファクトの多い画像になることが考えられますので、その検査の必要性を検討してください。どうしても検査が必要と判断された場合は1.5T装置を選択し、発熱しない条件で撮像してください。

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10数年前に入れたステントを留置しています。検査は可能でしょうか?

素材のみでMRI検査が可能かどうかは判断できませんので、まず、どのようなステントが挿入されているのかを調べ添付文書を確認してください。加工過程で磁性を帯びる可能性もありますし、発熱に関しては未知です。しかしながら、このMRI検査による画像診断の有用性がステントの起こす危険性より医学的に上回るようなら主治医の責任で検査が実施される可能性があります。その時には検査の内容と危険性について十分に説明を受けるようにしてください。

冠状動脈のステントは入れた直後からMRI検査が可能ですか?

冠状動脈のステントは、入れた直後から検査できるものが増えてきていますが、素材が多種類ありますので、必ず添付文書をご確認いただきMRI担当者に相談してください。

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MRI検査対応のペースメーカでは、そのままMRI検査ができますか?

「条件付MRI検査対応ペースメーカ」というのは現状では存在せず、すべてが「条件付きMRI対応ペースメーカ」です。したがって、MRI検査モードに変更しないとMRI検査はできません。磁力を感じると自動的にMRI検査モードに切り替わるペースメーカもありますが、一般的ではありません。

非対応型ペースメーカで、MRI検査をするとどのようになるのですか?

被検者にペースメーカリセットやオーバーセンシング、意図しない心臓刺激、火傷などの重大な傷害を与える可能性があるとともに本体も破損してしまい再手術を余儀なくされることがあります。

MRI検査対応のペースメーカであれば、どこの施設で検査できますか?

専門的な知識と適切な検査環境が必要ですので、放射線科と循環器内科もしくは心臓外科の専門医がいることと、日本磁気共鳴専門技術者またはそれに準ずる者が常時配置されている施設に限られます。また、当該施設がペースメーカのMRI検査に対する安全管理体制を整え、所定の専門的研修を終えていることが必要です。

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条件付MRI検査対応のペースメーカを植込んでいます。どのような手順でMRI検査を受けるのですか?

まず来院していただき、
1)ペースメーカ外来に行ってください。設定変更の指示がでます。
2)MRI検査室の控室で検査直前に臨床工学士もしくは循環器内科医がペースメーカをMRI検査モードに変更します。
3)検査が終了したら臨床工学士もしくは循環器内科医が元のモードの戻します。
4)再度ペースメーカ外来に戻っていただき、ペースメーカが正常に作動していることを確認していただいた後にご帰宅ください。

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条件付MRI検査対応のペースメーカを植込んでいます。検査の時に忘れていけないものは何ですか?

条件付MRI検査対応ペースメーカに限定して発行されるペースメーカ手帳とペースメーカカードは必携です。ペースメーカカードを持参されない場合は、MRI検査が可能であると臨床現場で判断できませんのでMRI検査を受けていただくことはできません。

ペースメーカ手帳には、各人のペースメーカの設定値が記載されていますので、モードを調整する際に必ず必要になります。

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条件付MRI検査対応のペースメーカを植込んでいます。検査中に危険なことってあるのですか?

一般的に、MRI検査中は普段のペーシング速度より少し早いタイミングでペーシングをするようにマニュアルにペーシングを設定します。中には、ペーシングモードをOFFにする場合もありますので、不整脈が起こっても反応しません。除細動付の装置については、除細動機能はOFFにしますので不整脈や心房(心室)細動が起こっても電気刺激を与えてくれません。検査中は常時生体モニタで被検者の管理していますのが、もし異常事態が発生した場合には、検査室外に搬出し適正に対処します。

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MRI対応のペースメーカーは、3T MRI装置でも検査可能ですか?

多くのペースメーカが3TでもMRIが可能になっていますが、1.5Tのみという制限付きの機器もあります。一般的にはペースメーカ手帳とペースメーカカードに適応静磁場強度が記載されていますが、記載のない場合は1.5Tでの対応となります。

非対応型の心臓ペースメーカではMRI検査は絶対できませんか?

ペースメーカが破損したり、予期しない刺激を被検者に与える可能性があります。結果的に被検者に傷害を与えることも機器に異常が発生しないかもしれませんが、医学的必要性がリスクを上回らない限り実施はお勧めできません。

緑内障インプラントを植込んでいるのですが、MRI検査は可能ですか?

緑内障インプラント(チューブシャント)の素材を調べる限り磁性体が用いられているように思われません。だからと言って安全だと言い切れません。人間にとって重要器官に接していますので、単独で判断せず眼科医と十分に議論を重ねて検査の可否を判断すべきと考えます。

ATSの人工心臓弁を植込んでいてもMRI検査が可能ですか?

添付文書には「MRIの安全性が確認されています」とあり、MRI検査を実施する条件には適合しますが、当該者にあっては元来心臓に疾患を有しておられますので、慎重に判断してMRI検査を受けてください。20~40分の閉鎖空間での静止した仰臥状態を保つ必要がありますし、呼吸停止もあったりかなりの負荷があります。

内視鏡のEMR施工後はいつから検査可能ですか?

内視鏡止血用クリップにMRI検査適合性の無い物があります(オリンパス HX-610シリーズ等)。クリップの自然脱落を確認してからMRI検査を受けてください。脱落が不明な場合は、腹部エックス線撮影などで確認する必要があります。

子宮内避妊用具でMRI検査禁忌のものはありますか?

最近の避妊リングには、避妊効果を高めるために銅が使われていることが多いようです。銅は反磁性ですが、導電性が高い材質なので撮像に使用する電波(RFパルス)が照射されて人体に電流が流れたときに、電流の集中が起こりやすく発熱の危険性があります。特に一部が切れていると、その部分に著しい電流の集中が起こり高い発熱が生じる可能性がありますので、避妊リング(銅を使用した器具)を装着している方のMRI検査はお勧めできません。

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人工内耳もMRI検査が可能なものがあると聞きました

外部器具を外した状態でMRI検査の実施が可能な人工内耳がありますが、メーカによって対応がさまざまですので添付文書を確認していただくとともに主治医にご相談ください。検査中は頭蓋に埋め込まれた磁石が動かないように包帯などで強く巻きつけ押さえつけて実施しますので、少しを痛みを感じると思います。いずれにせよ最新の注意を払って検査を受けてください。

サプリメント(鉄)を引用していると検査はできませんか?

アーチファクト(偽像)の出現によって正しい検査ができないことがあります。飲用を一旦中止していただくことが望ましいです。

鉄欠乏性疾患で鉄製剤を服用していますがMRI検査は可能ですか?

画像に影響を及ぼす可能性はありますが、服用薬剤によってMRI検査ができないわけではありません。服用薬剤を主治医に事前にお申し出いただき相談してください。

美容用金糸を埋め込んでいます。MRI検査は可能でしょうか?

美容用の金糸インプラントは、発熱の危険性は大いに考えられますので検査は避ける方が無難です。日本美容医療協会のホームページにも「金属が移動したり熱を発することがあります。悪性腫瘍の早期発見のチャンスを逃す可能性があります。」と記されています。

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妊娠に関する相談

授乳中の患者に造影MRI検査は実施できますか?

造影剤使用後の授乳による児への影響は非常に小さいと考えられるので、特段の理由のない限り、造影剤使用後の授乳制限は必要ありません。

投与後24時間以内の母乳への移行は投与量の004%未満、乳児の消化管からの吸収は母乳中の造影剤の1%未満であるとの報告があります。

MRI検査そのものは身体になんら影響を及ぼすものではありませんので、造影剤を使わない場合は、ご本人にもお子様にも検査後も通常に過ごしていただけます。

妊婦のMRI検査は可能ですか?

静磁界からの影響はなく、 通常操作モードで撮像すれば羊水や胎児に温度上昇が認められないことが確認されていますが、器官形成期の第1三半期間(妊娠期間の最初の1/3)約14週までは慎重であるべきです。これは、女性の下腹部や腰椎のMRI検査をした場合、成人に対するラジオ周波数パルスは部分的な照射となりますが、胎児にとってはて全身照射となるからです。
2016年9月6日、医学雑誌JAMAに胎児MRI施行における胎児および出生後の小児への影響について「妊娠初期に胎児MRIを行った胎児は、行っていない胎児と比較して、成長障害、視力、聴力、発がんなど明らかな影響は認められなかった」と発表がありましたが、「MRIを実施しても差支えがない」と述べている訳ではありません。MRI検査の必要性を十分に検討して医師と相談のうえ対応してください。

妊婦に対するガドリニウム造影MRI検査は大丈夫ですか?

母体においてガドリニウム製剤は代謝され、胎児の体内に移行することが考えられます。したがって原則的に、妊娠中はガドリニウム造影剤を使用しないほうがいいと考えます。